立命館大学情報理工学部知能情報学科
生体ロボット研究室

粒子内蔵型機械拘束要素
Particle Mechanical Constraint

粒子内蔵型機械拘束要素(PMC)とは?

粒子内蔵型機械拘束要素(PMC)は、内部真空圧によって剛性(硬さ)が変化する超軽量の機械要素です。
PMCは、伸び、縮み、曲げ、捻りなど自在な変形が可能で、任意の形状において内部の空気を抜き、真空化するとPMC全体が固化します。PMCの構造はビニルチューブに発泡スチロール粒子を封入しただけのシンプルなもので、ちょうどコーヒー豆の真空パックが硬くなるのと同じ原理で固化します。
金属性部品を用いないため超軽量であり、柔軟、真空圧駆動のため壊れても危険性が少ない、などの理由から、人間に接する機械インターフェースに適していると考えています。→身体装着型力覚呈示装置上肢用機能装具

PMCの構造

PMCは任意の形状で作成可能なのですが、常に安定した剛性を発揮するためには構造にちょっとした工夫が必要となります。ここでは円筒型PMCの構造を説明します。

上図は円筒型PMCの構造を示しています。チューブ両端は密閉されており、排気口を通して空気が出入りします。発泡スチロールビーズは、空気を通す薄布によって区切られた小部屋に均等に封入されています。小部屋に分けられていることによって、PMCが大きく変形した場合でも常に、粒子がPMC全体に均一に分布しています。粒子が偏って分布すると下図に示すようにPMCに折れが生じて剛性が発揮できなくなります。

粒子が偏ると折れが生じ、剛性が小さくなる。

薄布にはプラスチック製の中枠が固定されていて、折れが生じた場合でも中枠の径より小さくならないよう工夫されています。

PMCの機械特性

PMCは曲げ、捻り、圧縮、伸展が可能ですが、それぞれの変形時の剛性(硬さ)は内部真空圧に比例します。

真空圧制御システム

PMCはハンドポンプによって空気を抜いて真空化することが可能です。
ここでは真空ポンプを使って高速に真空圧制御するシステムを示します。

電空比例弁は空気の流路面積を調節する弁です。2つの電空比例弁がPMCと大気圧の間と、PMCと真空ポンプの間に接続されています。これら2つの流路面積によってPMCの真空圧を制御します。例えば、PMCを真空にするときには比例弁(A)を開けて、比例弁(B)を閉じます。また、大気圧に戻す場合には、比例弁(A)を閉じて、比例弁(B)を開けます。2つの流路面積を調節することで任意の真空圧をつくりだすことができます。

身体装着型力覚呈示装置

PMCを手首と胴体に固定することで、手先に粘弾性を呈示する装置を開発しました。本装置では、装着者に水かき感覚(粘性)や壁への接触感(剛性)を呈示することができます。

本装置は、ボクシングゲームなどに応用が可能です。

上肢用機能装具

肘関節、肩関節を固定または関節運動に負荷を与える機能装具への応用です。

本研究について

本研究は、平成8年度〜平成12年度 日本学術振興会未来開拓学術研究推進事業「人間との機械的親和性を重視した生活支援福祉ロボティクス」(プロジェクト・リーダー 川村 貞夫 立命館大学理工学部教授)より得られた研究成果を基にリハビリテーション、スポーツトレーニング、福祉ロボットへの応用を目指して研究を行っています。

その他

粒子内蔵型機械拘束要素以外にも、様々な構造の機械拘束要素を考案、試作していますので、
ご興味をお持ちの方はご連絡ください。

動画による紹介

 マネキンに取り付けた上肢用力覚提示装具
 円筒形のPMC 
 PMCを取り付けた円筒型水袋
 水袋のまわりを発泡スチロール粒子で覆ったもの  小麦粉を練った生地のような感触が得られます。
 板状のPMC
 連結型拘束要素で製作したギプス
 上記ギプスをハンマーで叩き、上に重りを載せる。
 単関節の連結型拘束要素 体重支持装具に使用したもの
 ジャバラを内蔵したPMC ジャバラによって能動的に伸縮し、PMCにより剛性調節できます。
 PMCにて製作した手指装具

連絡先

スポーツトレーニング、リハビリテーションに従事されている方、
柔軟軽量ロボットの開発を行われている方、その他アイデアを
お持ちの方、共同研究しませんか?
ご意見、ご感想、ご質問、お気軽にお寄せください。

立命館大学情報理工学部知能情報学科
生体ロボット研究室
満田 隆


作成 2001年11月29日 満田 隆
2003年5月8日 連絡先の変更
2004年4月23日 連絡先の変更
2008年5月28日 紹介動画を追加